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- 書籍「逆ソクラテス」の感想・書評が知りたい
伊坂幸太郎さんのデビュー20年目の作品。
先入観や個人的なバイアスで決めつけてくる人が一定数いる。そういう人に対しての反撃を書いた一冊。同調圧力に負けそうになっている人におすすめ。
自分の意見と違うときは、自分の意思を持って「僕はそうは思わない」と言えるようになりたい、そう思わせてくれる。
短編全5編。
- 逆ソクラテス
- スロウではない
- 非オプティマス
- アンスポーツマンライク
- 逆ワシントン
2021年本屋大賞ノミネート。第33回柴田錬三郎賞受賞作。ネタバレなしで、魅力を伝えます。
参考:逆ソクラテス
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逆ソクラテス|あらすじ
逆ソクラテス
主人公は加賀。小学6年生のときの話。特に優れた能力を持っているわけではない普通の少年。
同じクラスいる草壁。草壁は久留米先生から「ダメな子」と思われている。久留米先生は人を先入観で判断するタイプなのだ。
久留米先生は「ダメな子」と決めつけ、あからさまな態度や行動で示す。周りもその影響を受けて、草壁を「ダメな子」と認識。
それを面白く思わない子もいる。小学6年生のときに転校していきた安斎だ。加賀は安斎は次第に仲良くなり、久留米先生の先入観を覆す作戦を考えはじめる。
草壁を助けるのが目的ではなく、久留米先生の先入観を変えるのが目的の作成。先入観がなくなれば、今後草壁のように扱われる子が減ると考えた。
ソクラテスは神託の意味を、知恵に関しては自分にはほとんど価値がないことを自覚した者が人間たちの中で最も知恵ある者であるということだ。
久留米先生はソクラテスとは逆の「自分は完璧だ。間違うわけがない。何でも知っている」という状態(=逆ソクラテス)。
加賀と安斎はどのような作戦で先生の先入観を覆すのか。
スロウではない
主人公は司。司は、運動会のくじ引きで選ばれてしまった。でも、運動音痴なので自信がない。
リレーは足の速い子が集まったAグループと、足の遅い子が集まったBグループに分かれました。司はもちろんBグループ。
Bグループには司の他に、運動音痴の村田花、転校したばかりの高城かれん。Aグループにはクラスのリーダー格で足の速い渋谷亜矢がいる。
足の遅いBグループの練習を面白く思わない渋谷亜矢。Bグループに理不尽な要求をする。渋谷亜矢がしていることはいじめ。
リレーと渋谷亜矢の行方はどうなるのか。
非オプティマス
オプティマスとは、トランスフォーマーに登場する司令官オプティマスのこと。
主人公は翔太。ごく普通の小学5年生。翔太の担任の久保先生はいつも元気がない。生徒が悪いことしても叱らないのだ。なぜ叱らないのか生徒も気になっている。
同じ頃、保井福生が転入してきた。いつもヨレヨレの安い服を来ているため「やすいふくお」と言われていた。しかし、福生はそんなことは気にしない。
その福生が度々口にするのがトランスフォーマー。彼にも気に食わないことがある。クラスで威張っている騎士人(ナイト)だ。
なんとか痛い目に遭わせようと計画を立ててる。それに翔太も付き合わされる。さて、どうなるのか。
騎士人(ナイト)は授業中にわざとペンケースを落として授業妨害をしていた。久保先生は厳しく怒ることはしない、それを分かった上でのいたずらだ。
久保先生は何を考え、なぜ元気がないのか。久保先生の過去が明かされる。
また、騎士人(ナイト)との関係は?福生の安い服を来ている意味とは?
アンスポーツマンライク
アンスポーツマンライクファウルとは、バスケットで故意にファウルしたと審判が判断した場合などに宣せられるファウル。通称「アン・スポ」とも呼ばれる。
主人公は歩。小学校時代のミニバス(バスケット)の話だ。
ミニバスの大会で決勝に進めず、敗北した。それが歩を含む5人の記憶に残っていた。
それから時がたち歩たちは大人になった。久しぶりに体育館に集合すると、銃を持つ男が乱入してきた。
歩たちはどうなるのか?小学生のミニバス時代の後悔(敗北)から取った行動は?
逆ワシントン
主人公は謙介。小学校を休んだ靖の家に、プリントを届けるところから物語ははじまる。
学校を休んだ理由が「腹痛」というのが気になっていた。靖の家のチャイムを鳴らすと父親がでてきた。その振る舞いも気になる。何かあるに違いない!
謙介と友達の倫彦は、どうにか家の様子が分かる方法を模索する。
靖は本当に「腹痛」だったのだろうか。謙介と倫彦が目にした真実とは?
逆ソクラテス|感想・レビュー
それぞれの短編が実はつながっていて、ひとつの大きなストーリーがある。現在と過去を行ったり来たりしながら、登場人物の結びつきや関係を知ることができる。
読みすすめることで、伏線が回収されていくので面白い。また一つ一つの物語に名言が存在する。
特に気に入っているは「逆ソクラテス」での「僕はそうは思わない」という言葉だ。学校でも社会でも周りに流されてしまうことがある。本当はそう思っていないことでも上司や権力のある人が言ったことに「そうですね」と答えてしまう。
その場の空気を壊したくないし、話を複雑にしたくない気持ちもある。しかし、時には「僕はそうは思わない」とハッキリ言わなければならない。自分の意思を持ち、生きていく必要がある!と思わせてくれる話だ。
さらに誰しも色眼鏡をかけて世の中を見ている。生活してきた環境でも色はついていく、フラットに見ているようで実は偏見が含まれていたりする。自分の考えも何か偏見があるのではないか?と疑わないと間違ったことを言ってしまいそうなので気をつける。
厄介なのは自分は間違ってないと思ってしまうことだ。自分の中では当たり前のことなので、疑っていない。たとえば、九州男児はお酒が強いは本当だろうか?勝手なイメージで決めつけてしまうのは良くない。
その他にも生きていく上で大事なことが要所要所に散りばめられている。読み終わったあとにストーリーが面白かったと同時にタメになったと感じた。
同調圧力に違和感を覚えている人はぜひ読んで欲しい。
参考:逆ソクラテス
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