- 書籍「オルタネート」の感想・書評が知りたい
加藤シゲアキさんの「オルタネート」。高校を舞台にした青春ストーリー。高校生のときに興味あるSNS、趣味から自分を見つけ出す物語が今動き出す。
- 『ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE YEAR 2021 小説ランキング1位
- 第8回高校生直木賞受賞
- 第42回吉川英治文学新人賞受賞
- 2021年本屋大賞ノミネート
- 第164回直木賞候補
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。母との軋轢により、〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、〈亡霊の街〉から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる"とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体――。
“あの頃"の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。
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「オルタネート」を紹介します。
参考:オルタネート
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オルタネート|作者:加藤シゲアキ
1987年。大阪出身。青山学院大学法学部卒業。ジャニーズのNEWSのメンバーとして活動しながら執筆活動をしている。
「ピンクとグレー」で作家デビューし、「閃光スクランブル」「Burn.」「傘を持たない蟻たちは」「チュベローズで待ってる」と複数作品を発表。いずれもヒット作品となっている。
オルタネート|あらすじ
タイトルの「オルタネート」とは高校生限定のSNS。高校に入学したら登録できるようになり、卒業や退学をしたらログインできなくなる。
オルタネートでフォローすることを「フロウ」と呼び、お互いにフォローしあって連絡できるようになることを「コネクト」という。
オルタネートは登録必須ではないため、登録している人もいれば、登録していない人もいる。そして舞台は東京の円明学園高校。
円明学園高校を中心とした3人の主人公がいるのが特徴だ。それぞれの主人公の物語があり、ひとつの学校で繰り広げられていく。
主人公は「新見 容(にいみ いるる)」「伴 凪津(ばん なつ)」「楤丘 尚志(たらおか なおし)」の3人だ。
料理部部長の容(いるる)は、高校生の料理対決番組「ワンポーション」に出場するためにペアを探していた。昨年も出場し決勝に進んだものの惜しくも優勝を逃し、今年こそはと意気込んでいた。
凪津(なつ)はオルタネートにハマっていた。オルタネートには登録者の情報を集めて、その中から相性のいい人を見つけ出す機能がある。凪津はそこから運命の相手を探そうとしていた。
最後に尚志(なおし)は昔一緒に音楽をしていた安辺 豊(あんべ ゆたか)を探しに円明学園高校やってきた。
新見 容(にいみ いるる)
容は和食料理「新居見」を経営している両親の娘であり、そんな両親を見ながら育った容も料理に興味を持っていた。
そこから高校生になり料理部に入ると、ひょんなことから料理対決番組「ワンポーション」に出場することになった。ワンポーションは2人1組になって出されたテーマから料理を作る、といったもの。
容たちはなんとか決勝まで勝ち進むことができた。決勝ではアクシデントがあるも全力を尽くし料理を完成させる。しかし、審査員から「独創性がない」など辛辣なコメントをもらう。
悔しさをバネに再度挑戦するため次回出場のペアを探してた。
容の料理には容の良さがある。そんな彼女を気にしていたのは、優勝者の三浦 栄司(みうら えいじ)だった。ライバルであり、容に好意を寄せていた。
容は料理部からペアを探し再びワンポーションに挑戦する。誰がペアになるのか、三浦 栄司との関係はどうなるのか。
伴 凪津(ばん なつ)
凪津は、オルタネートを信じ切っていた。このアプリを使えば運命の人に出会えると。オルタネートは学習能力があり、その人の情報を渡せば趣味嗜好を理解し、よりマッチする人を見つけてくれる。凪津は多くの情報をオルタネートに渡しているが、マッチ度は50〜60%程度の人しか見つからない。
そんなとき「ジーンマッチ」という機能が発表された。遺伝情報からもマッチする人を探し出せるようになる。もちろん凪津はジーンマッチを登録する。
するとマッチ度90%を超える人が現れる。凪津はすぐにフロウ(フォロー)した、すると向こうからもフロウされ、コネクトした。早速やりとりをし会うことになる。
相手は凪津の求めていた運命の人なのか。
楤丘 尚志(たらおか なおし)
尚志は高校を中退した。中退したことでオルタネートにもログインできなくる。かつて一緒に音楽をしていた仲間の豊(ゆたか)を探しに円明学園高校へ向かう。
オルタネートがなく連絡できないので、直接会うしかなかった。なんとか円明学園高校に忍び込み、豊を発見。
豊は突然現れた尚志に驚く。また一緒に音楽をやりたいと思った尚志だが、豊は違っていた。久しぶりの再開だが二人の距離は開いてしまう。
尚志は行き場を失い、音楽家の集まるシェアハウスに入ることにした。この先、二人の関係はどうなってしまうのか。
3人の主人公の物語ははじまりは違えど、文化祭の日に向けて収束していく。そこまでにどんな葛藤や喜びがあるのだろう。
オルタネート|レビュー・感想・書評
登場人物が多くため、最初の数十ページは登場人物とオルタネートの理解に時間がかかる。また場面がコロコロ変わるため、頭の切り替えも必要だ。
しかし、そこで読むのをやめないで欲しい。後半にかけてグンと面白くなる。頭の中で3人の物語がそれぞれ並行に動き出す。同じ学校のできごとのなので時に登場人物が混ざり合う。
前半複雑だと思っていた登場人物も、後半には慣れていく。これは入学したときにクラスメートの名前と顔を覚えられなかったけど、時間の経過とともに慣れ親しんでくる感覚に似ている。
気づいたら自分も物語の中の一人のような感覚になる。こんな青春に憧れる人もいると思う。高校生活を部活に注ぐ人、恋愛に注ぐ人、はたまた学校とは別の場所で価値を見つけようとする人。どれかに当てはまる人は多いのではないだろうか。
青春を味わいたい人に読んでもらいたい一冊。
参考:オルタネート
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